岩田鋼鉄株式会社

添加元素とその役割

1.5元素の役割

炭素(C) 強さ、硬さを増加させるもっとも重要な元素。
C 1%につき引張り強さを約100kgf/㎟増す能力がある。
鋼中のCは、主にFeとCの化合物(Fe3C:セメンタイト)として存在している。
ケイ素(Si) 鋼中に溶け込みフェライト相を強化するため、靱性を減少し硬さを増加させる元素。
Si 1%につき引張り強さを約10kgf/㎟増す能力がある。
マンガン(Mn) 焼が入り易くなり、靱性を劣化せずに鋼の強さを増す(強靭性に優れる)元素。
Sと結合して硫化物(MnS)をつくる。
鋼中のCは、主にFeとCの化合物(Fe3C:セメンタイト)として存在している。
リン(P) 一般には不純として扱われる元素。(普通0.030%以下に管理)
寒いときに鋼を脆くする性質(冷間脆性)や偏析を生じ易い性質がある。
一方、固溶体として強度を増し、快削性の改善にも役立つ。
硫黄(S) 一般的には不純物として扱われる元素。(普通0.030%以下に管理)
Pとは逆に赤めた時に鋼を脆くする性質(熱間脆性:熱間加工性を害する)がある。
Mn硫化物(MnS)として被削性改善のために添加されることもある。

2.合金(特殊)元素の役割

クロム(Cr) 多才な元素で、なかでも代表的な効能は耐摩耗性、耐食性を増加させる。
浸炭を促進し、焼入れし易くする働きもある。
炭化物を作り易く、焼き戻し軟化特性が大きくなる。
ニッケル(Ni) 硬さ、強さ、靱性、焼入性を向上させ、また耐食性を良くする働きもある。
低温における耐ショック性(低温脆性)を改善する有力な元素。
少量のCrやMoを複合添加する方が効果的。
モリブデン(Mo) 焼きの入る深さ(焼入性)を増加させる最も優れ、かつ最も信頼性の高い働きをする元素。
炭化物を作り易く、焼き戻し軟化抵抗を増大する。Crと併合すると効果は上がる。
高温における結晶粒の粗大化を防ぎ、高温引張強さも上昇させる。
バナジウム(V) 少量の添加で結晶粒を細かくして焼戻し軟化抵抗が大となり、強靭性を改善する。
硬い炭化物をつくるために、耐摩耗性の向上にも役立つ。
ボロン(B) 0.003%以下の微量添加で焼入性増大。